樹下石上 118・・・自立ってなんだ!?⑤
とりあえず今日で一区切りしたいと思います。
私が自立について考え続けるわけは、
目の前にいる子供や相談者の現状を見ていて
何度も何度も行きつく矛盾のためです。
「教育とは子どもの自立を目指すもの」というテーマと
「個々自立の濃淡を、いったいどこで受け止めてもらうのか」
この二つのギャップがあるからです。
国(支配する者)がわたしたちに、
暗黙の了解で求める「自立」は
①何でもこなせること
②一人でできること
③速く(早く)こなせること
④生産性が上がること
⑤利益(GDP)が上がること
⑥できるだけ高い納税者であること
⑦余分なこと(反対意見)は考えないこと
⑧できるだけ一律であること
⑨多少規格外なら、既得権に迷惑をかけないこと
そんなところでしょうか・・・
私の塾には、教科書1ページぐらいの内容なら
5分で覚えられる子もいれば、
2時間かかっても覚えられない子もいます。
国の基準からすれば
まちがいなく前者の子が有利です。
身近な諸々の締め切りも
テストも
成績も
受験も
就職試験も・・・
しかし、いのちを基準に考えれば、
後者は実に苦しい世の中になる・・・
なんでできないの!?と不機嫌に叱られたり、
まあ、いいや!とほったらかされて無視をされたり、
他者に嫌味を言われながら
その不足分を補ってもらうことに
罪悪をおぼえる・・・
足の不自由な子に
100mを12秒で走れと言われているようなものです。
また、仮に足が不自由でなくとも、全員
12秒で走れるようにトレーニングさせられる感じでしょう。
もちろんその逆で
早い子が遅い子に無意味に合わせる必要もない。
過剰反応と無配慮の間はないのか・・・
できる子とできない子の確執が生まれる・・・
やがて、優越感と劣等感の層ができる。
また、優の中に新たな優劣の層・・・
そうやって、果てしもない細分化された序列ができる・・・
自立ってなんでしょう!?
2時間かかる子に「2時間を確保してあげること」・・・
本人が必要であれば手助けすること・・・
あなたが、あなたのペースで進めばいい・・・
それが、本当の意味で「自立していること」になるのでは・・・
そんなことでは社会に出たらやっていけない・・・
でもその環境を望んで作っているのも私たち・・・
それに、そこはあくまでも比較の問題・・・
私の「自立考」はこれからも続くのでしょう・・・
そんなに簡単に答えは出ないでしょうね。
考えて考えて考える・・・
一人の大人としてそれをやめない。
そして、それを少しずつ現場で生かす・・・
それがせめてものわたしのお役目だとも思っています。
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genre : 心と身体
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