津の遠野物語
おそらく、柳田国男でしょう。
「遠野物語」
遠野地方出身だった佐々木喜善がかの地の伝承を
柳田に語り、彼が筆記・編集したものだ。
読めば読むほど不思議な世界・・・
以前ここでも上げた「山怪」に通じるものがある。
➡異界への畏敬
この世には不思議なことが多い。
科学で証明されていないだけだ。
私が住む近くの海岸でもいたたまれない不思議な事件が起きている。
昭和30年、中河原海岸、津市の中学校生徒約400名のうち、
女子生徒36名が海で亡くなった。
先日そのことが本になったと新聞で読んだ。
この日は、奇しくも津市の何度かあった空襲の最後の日だ。
つまりは・・・そういうことだ。
死者への敬意、
二度とそういうことを起こさない誓い、
いま私たちが生かされていることへの感謝、
その人たちの分までちゃんと生きる決心、
世の中をよくする個人の努力・・・
そういったことを忘れないように
死者は語りかけるのだ。
この本の作者が、東北岩手のご出身と聞いて
柳田国男と佐々木喜善の魂が
彼を突き動かした作品なのではないかとさえ思った。
こんなに科学技術が進んだ世の中でも
わからないことはたくさんある。
そのわからないことへの人間の敬意が薄れた時
人の想像を超えたことで気づかされる・・・
この世とあの世は、すぐ隣り合わせのところにある。
これは精神的例えではない。
文字通り、物理的にすぐ隣なのだ。
彼らは私たちの何ら変わりはない。
やさしく思えば喜ぶし、
軽んずれば悲しむし、
バカにすれば怒る・・・
本当に私たちなのだ。
死んでいるが生きている・・・
わたしたちは、その息吹を感じつつ
ちゃんと生きねばならない・・・
知らないふりで生きてはいけないし、
死んだように生きてはだめなのだ・・・
生きるように生きる・・・
そうすれば彼らは力になってくれる・・・
それは、岩手の遠野物語も津の海岸も同じなのかもしれない・・・
