樹下石上 ①・・・ゴミ収集車
ありがたいことにとても便利にできている。
店のすぐ前に出すと、ゴミ収集車が流しながら
各家庭の玄関先のゴミを拾い上げていってくれる仕組みなので
実に申し訳ないぐらい便利なのだ。
昨日も、遠くからゴミ収集車の音が聞こえてきた。
「あ、ごみの日だった!」
そう気が付いてからでも
十分間に合う。
慌ててゴミを出しに行くと
遠くから元気な声・・・
「先生!」
そう呼び留めてくれたのはゴミ収集してくれている若者・・・
視力が乏しい私は少し目を凝らす・・・
K君だった・・・
「久しぶりです!」
もう、15年ほど前の生徒さん・・・
額に汗がにじんでいた。
思わず、「いつもありがとう!・・・」
しばし、談笑・・・
といっても、相方の運転手はもう30Mほど前を行く・・・
「また来ます!」
そういって彼は小走りに収集車を追いかけていった。
ほんの十数秒ほどの会話だった。
彼が立ち去った後、何ともさわやかな風が流れる・・・
ゴミというのは、それを出す側も扱う側も
人間がいちばん現れる残骸・・・
出すときにだれに向けるともなく
「ありがとうございます」とつぶやく・・・
その時は、出すことに夢中になって
いうのを忘れてしまっていた・・・
「ありがとう・・」
それはゴミに対して・・・
そして集めてくれる人に対して・・・
そして、生活の残骸を人に任せて知らんぷりしないように
自分への戒めのために・・・
ゴミに類似するものに、
飲食店での食事の後の自分のテーブルの様相・・・
そういう「立つ鳥・・・」の残りかすが人間を表す・・・
彼の額を汗を見て、もう一度自戒を込めた。
「いつもありがとうございます・・・」
※樹下石上 (じゅげせきじょう)・・・禅語です。
昔、修行者は樹の下、石の上を好んで座禅の場としました。
さらに、樹の下であろうが、石の上であろうが、
今いるところ、即ち何処にいても、日常すべてが道場という意。
日々、そういった気持ちで筆を握れればと思い
今日から、「樹下石上 」シリーズで書いていきます。
よろしければお付き合いください。
theme : 気付き・・・そして学び
genre : 心と身体
