春、晴明のころ②・・・言霊を育てる
思いがけずいい言葉に出会った。
人生の縦軸が「必然」、横軸が「偶然」・・・
こういう言葉集めが私はすきで、
何となく書き留めたり、
それを置き換える言葉を探したりして、自分なりに咀嚼を楽しむ。
要は、その言葉の四則計算をする。
= (ほぼ同じ言葉)
≒ (よく似た言葉)
≠ (似て非なる言葉)
⇔ (反対の言葉)
< (規模が大きな言葉)
> (規模が小さい言葉)
+ (ある言葉を加えると・・・)
- (ある言葉にない要素・・・)
× (かければ増幅する言葉)
÷ (その言葉との共通点、仲間)
などを探していくのだ・・・
そうすることで、語彙力が増すだけでなく
他人に様々なテーマを話すときに幅がうまれる。
ことばは消耗品だ。
幾度となく使い続けると
いつしかその威力がなくなり疲れ果てる。
人は何度も何度も同じ言葉を聞くと
聞き飽きるだけでなく、拒絶するようになる。
耳にたこができるだけでなく、シャッターが下りる。
つまり、聞く耳もたず、シャットアウトだ。
なぜか・・・
毎日使い、古くエネルギー切れした言葉は聞き飽きるだけでなく
その言葉を聞いている人間のエネルギーを奪い始めるからだ。
言葉が人間のエネルギーを奪う???
どういうことか・・・
それは至極簡単な原理で
水が高いところから低いところへと流れるように
エネルギーを持つ人間から、
エネルギーを失った言葉に流れていってしまうのだ。
それは、傍から見ていると、まるで奪われていくように見える。
「辟易とする・・・」
そういう状況だ。
一番いい例が、親が言う「勉強しなさい!」 だろう・・・
子どもに何度言っても勉強はしない。
むしろシャッターを下ろして世界を仕切る。
もしくは、「うるさい」と反抗的になる。
子どもたちは本能的に
言葉にエネルギーが奪われると知っていて
シャットアウト&排除するからだ。
人に何かを伝えるとき真新しさは大切だ。
では、その真新しさは、言葉の種類だろうか・・・
おそらくそうではない・・・
むしろ、日ごろ使っている平凡な言葉でも
組み合わせと置き換えを工夫することで
内容に新たな息吹を吹き込むことができる。
そのためには、冒頭の言葉集めと置き換えは重要な作業になる。
そうして生まれた言葉の世界観は、
聞きなれない難しい言葉よりも
新鮮な力強いエネルギーが放出しやすい。
つまり、人が言葉に足を止めたり、勇気づけられるのは、
使われる頻度ではなく、その言葉が舞台の俳優のように
入れ代わり立ち代わり、様々な装いで登場するときだ。
それは、言葉が紡ぎ出す世界観だ。
その時、仮に日常使われている簡単な言葉であっても
十分心に響くものになる。
ちなみに、人が文章を読んで面白いと感じるのは、次の3つらしい。
①新たな知識を得たとき
②予想や常識を覆されたとき
③別々の要素がつながったとき
「迷わず書ける記者式文章術」より・・・
これは、文だけでなく、
会話でも同じことが言えるのではないだろうか・・・
伝える内容が同じでも
言葉とその組み合わせがひとつで
ひとは、「おっ!」を目を見開く・・・
人に何かを伝える仕事の人は、日々こうして言葉を集めることで
賞味期限切れした言葉を日々アップデートしておく必要がある・・・
そして一番大切なこと・・・
その言葉と世界観にふさわしい人間になっていること・・・
言霊とはそうやって生まれ、育つのだろう。
自戒も含めて、記しておきたい。
theme : 気付き・・・そして学び
genre : 心と身体
tag : 言霊
