秋、白露のころ⑭・・・韓国歴史ドラマの面白さ
私には寒いと感じだ夜。
今年初の毛布で寝た。
まあ、途中、蹴飛ばして寝ているので
意味はないが・・・
さて、最近も韓国の歴史ドラマが面白い・・・
韓国歴史ドラマの面白さは、
ドラマに出てくる衣装、風習や慣習、儀式や法の一部が
日本のそれとよく似ている部分があって
「ああ、これが伝わったのか・・・」と
伝播する経緯が想像できるからだ。
例えば連判状・・・
何か事を起こすときに
裏切者が出ないように互いを監視するサインだが
先日、それを円形に書くシーンを見た。
円にする意味は、だれが主犯なのかを不明にする狙いがある。
横に書けば、最初の人物がリーダーだとわかるからだ。
これは、日本の江戸時代に
農民が一揆をするときに書かれた円形連判状と全く同じだった。
そういう楽しみ方ができるのがお隣韓国のドラマだ。
もう一つの楽しみ方は、
韓国の歴史ドラマは、日本の歴史ドラマのように
「さも本当にように・・・(歴史に沿っている風に)」という狙いは全くなく、
描く監督、脚本家によってストーリーや人物設定が根こそぎ違う。
つまり、演出重視で史実はほぼ無視という感じだ。
たとえば、韓国三大悪女の一人「張禧嬪」チャン・ヒビンは
ドラマ「トンイ」と「チャン・オクチョン(ヒビン)」とでは全く別の描かれ方をしている。

トンイとチャン・オクチョン(ヒビン)の「悪女/良女」が全く逆転するだけでなく
トンイでは全く表現されなかった、針子「チャン・ヒビン」が描かれている。
日本のドラマでも描かれ方ひとつで
善悪が変わることはよくあるが
職まで違うのは驚きだ。
違うことが嫌味ではなく
それが「演出」として素晴らしいものになっているのだ。
その理由の一つがわかった新聞記事に出会った。

韓国では、50以上の
国公私立大学に「映画・演劇学部」があるらしい。
演者だけではなく、脚本家、プロデュサー、照明、
他にも戯曲論、演出論、伝統芸能など、
舞台に関する今昔表裏すべてを学べる。
それにくらべて日本ではせいぜい私立に10前後。
内容も薄い。
人口比では、10倍以上の差という。
日本は芸術の産出は、伝統芸能でない限り
主に個人の能力に依存している。
または、大半がコネでつながっているのかもしれない。
うまくもない歌、棒読みセリフの役者・・・
若く、プロダクションが強いというだけで
TVや映画に出れる芸能人も多い。
若いときにちゃんときたえないので、
やがて「時分の花」(若いからうけるだけ)で終わってしまう。
一方、韓国の場合は、
国がその育成と支援を担い、厳しく育てる。
実は韓国だけでなく、イギリスなども
専門の育成センターがあり
ダンサーを育てるための助成金が
国から潤沢に支給されていたりする。
以前も日本の高校生ダンサーが、
韓国でデビューしたいと、かの地に修行に出かけ、
あまりの厳しさに泣き崩れるというドキュメンタリーを見た。
芸術育成という点では、日本は昔から疎いが
いまそれが歴然の差となって表れ始めているのかもしれない。
「なるほど」とひざを打った。
韓国は、エンターテイメントを育てる気概が違うのだ。
それは産業にまで発展し、経済貢献をしている。
韓国のドラマが、なぜ奥が深く、面白いのかがわかった。
日本では「そんなことでは食べていけませんよ」というが
その「そんなこと」に中に芸術部門は多い。
しかし、私の周りでも
その食べていけない職業を望む生徒もちらほら出てきている。
俳優やダンサー、演出家、舞台効果・・・
イラストレーターに、アニメ作家、画家・・・
今の子どもが、親御さんに芸術関係に行きたいと言って
頑張りなさいと言える「大学」「高等教育」の機関が少なすぎるのだ。
昨今の日本では、
即お金にならない人文系の大学はいらないと
極端な効率主義が広がりつつあるが
芸術とエンターテイメントもまさにそれに入っているようだ。
(国の助成金が即お金になる研究に多く出るので
大学の研究そのものが、スポンサーの国にこびたような
狭い世界になっていることもある。)
芸術、それをエンターテイメントまで育てることは、
時間はかかるかもしれないが
まちがいなく人のこころの豊かさと潤いを
名実ともに生み出すと思う。
人口も減少し始め、鉱山資源も少ない日本の宝はやはり「人」。
芸術に関する考え方をそろそろ真剣に考えるときが来ていると思う。
theme : 気付き・・・そして学び
genre : 心と身体
