夏、夏至のころ④・・・ニの風
夕方、窓を開け放っていた塾の日・・・
ある生徒と二人だった。
「先生、わたしのランドセル、水色だけど
それにも意味があるの?」
(うーん)
いつものように空に視線が向く・・・
すると・・・
水、火、祭事、縄文、東北・・・
矢継ぎ早に言葉・・・
そしてその情景が出てきた・・・
夜のとばりが下りている・・・
7.8歳の子供たちが
短く刈られた草の上で円になっている。
中央には大きなたいまつ・・・
何かの祭事だ・・・
その周りを背中にたいまつを背負った子供たちが
ゆっくりとまわっている・・・
ふとその生徒の姿も見える・・・
次の瞬間、その子供の背中に火が燃え移る・・・
祭事のすぐ横、
子どもの背の丈もある草むらの横には
小川が流れている・・・
火を消そうととびこむ子供・・・
今も昔も 子供は宝・・・
そんな中で起きたあってはならぬ事故・・・
責任のすべては祭事を取り仕切る私にあった・・・
かえらぬいのち・・・
後悔と自責の念・・・
わたしは自然と涙があふれてきた・・・
「あの時は本当にごめんなさい」
気が付くと生徒に謝っていた・・・
「いいよ~」とあかるく生徒・・・
その時だ。
網戸を外すかと思うほど強い南風が吹いた・・・
まちがいない・・・
同時に顔を合わせるわたしたち・・・
ほほえんでいた・・・
無言の中、今世 互いが出会った意味が分かる・・・
出会えてよかった…
たがいに再会を祝福する安らぐ顔に変わっていった。
輪廻転生の中
人が出会う意味はひとつしかない。
いのちを祝福しあうため・・・
それ以外にはないことを知れば
今の自分が・・・
そして周りにいる人たちと何をすべきかが
おのずとわかる。
そしてわかったあとは
もう知らなかったときの自分に戻ることはなく
それ以外したくなくなる・・・
これが、二の風である。
theme : 気付き・・・そして学び
genre : 心と身体
