「非服従」のススメ
誰もが服従者(エージェント)になる可能性があるのが
今の世の中であり、人間の性・・・
人は一旦権力のエージェントとなると
なかなか抜け出せない。
しかし、この実験の1/3の人は、
この権力の子羊状態から抜け出す・・・
本の中では英雄的存在と書いてあるところもあるが、
実は、従順なエージェントであり続けるよりも
服従を止める人の方が、
大きく心と行動の負荷がかかるというのだ。
つまり、抜け出る葛藤の方が
服従し続けるより大きく苦しいものになるという・・・
どういうことか?
それは、服従し続ける人は、
自分の行動に何ら呵責がないし、
責任も取らなくていいという安心もあるので、
当たり前のように任務を果たせるが、
一旦、苦痛と苦悩が始まると
そこから抜け出ることは、
自分が権威者が作り出した社会的秩序を壊すという
当事者になってしまうので
大きな罪悪感が生まれてしまうからだという。
この本では、この葛藤を「緊張」と表現している。
つまり、服従状態から覚醒状態になるには、
この「緊張」を通り抜けなければならぬため
服従し続ける人より困難となる。
ちょっと身近な言葉で表現すれば、
「結婚するより
離婚の方が数倍エネルギーがいる」
というアレである。
この「緊張」をもう少し別の表現をすれば、
「嫌われる勇気」
「自分がこの秩序を壊す当事者であるという自覚」
「その後、権威者から罰を受けるかもしれないという恐怖」
そんな感じとなるか・・・
非服従は、権威者からすれば
異端であるし、邪魔者であるし、秩序を乱す罪人である。
ところが「非服従」は
道徳&良心的で原始的で自動的な行動である・・・
服従者は、
「権威が命じる行動の中身については責任を感じない」し、
「私は自分の責務を果たしただけだ・・・」なので、
心に「緊張」など生まれない。
「当たり前にそれをやっているだけ」なのだ。
この筆者&実験者は、
服従者はもっと大きな空気に埋め込まれているという。
あのコロナ時のマスク強要、ワクチン強要の
社会の空気はまさにそれである。
「服従者」の代表例が「兵士」だが、
あれほど世の中に「服従者」が増えたからこそ、
世の中が戦時中のようになったのだ。
実はこの実験は、アメリカ以外でも数か国で実施されているが
そのときは、なんと85%の人が服従したという。
あのワクチン戦時中の中でも
非服従の「緊張」を生み出した人々は、
おそらく20%弱だったのだろう・・・
これが奇しくもワクチン未接種率と符合するのは、
この実験との整合性を表している・・・
さて、私なりに結論を書いておこう・・・
非服従の引き金は「緊張」であるし、
非服従はこの「緊張」と言うトンネルを超えて
「自律的な機能」を取り戻すことであるが、
そのためには、
「あれ、おかしいな」という心の声に敏感になることだ。
この本では「内心の疑惑」としている。
私がよく使う言葉の「違和感」に近いものだと思う。
非服従の流れはこんな感じだ。
1.内心の疑惑(違和感)
↓
2.疑念の外部化(言動に出てくる)
↓
3.不同意(権威者との関係はまだ壊さない、やり方の変更等を要求する)
↓
4.脅し(命令の拒否、権威者との決別がはじまり、いい人でいられなくなる)
↓
5.非服従(権威者との完全な決別、礼儀正しさなど口先だけの関係を超える)
もともと英語の翻訳本なので
的確な言葉でないかもしれないが
3・4が
「嫌われる勇気」
「自分がこの秩序を壊す当事者であるという自覚」
「その後、権威者から罰を受けるかもしれないという恐怖」
を乗り越えていく様である。
非服従のポイント・・・それは
・違和感を 社会関係的秩序を理由に
封印しないこと
・違和感の萌芽をそのまま育てること
・そしてその違和感を声に出すこと
これが、私がこの本を読んで生まれた意訳です。
つくづく思うのですが、
「非服従」という心の尊厳は、
今後ますます重要になると予感します。
そして互いの「非服従」を認め合うことも
これまたとても重要なスタンスかと思います。

皆さんがもしお読みになられたなら、
「非服従」について是非ともに語ってみたいです。
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theme : 心、意識、魂、生命、人間の可能性
genre : 心と身体
tag : 非服従