独りよがりな復讐
「医者になれないのなら
人を殺して罪悪感を背負って
切腹しようと考えた」
彼は、犯行後こう語ったと報道されています。
プレッシャーや劣等感に苛まれ
辛い思いをして自殺というパターンではなく、
自分をそこまで追い込んだ?社会や(関係のない)人、
もしくは今回のように、
勝手に作り上げた妄想的復讐対象(東大)への危害、
本来見つめなければならない自分の痛み(弱さ)を
もっと別の大きな代償(その人たちは全く関係がない)で覆い隠し
見ないようにして、赤の他人を巻き込みなかったことにする・・・
そんな事件が多発しているように思います。
「どうせ死ぬなら世の中を巻き込む」
いわゆる「拡大自殺」と呼ばれる現象です。
どうやら「社会」という大きな枠組みで
得体のしれない何かが起き、
その連鎖が起きているようです。
もちろんこれは社会を作る人間たちの連鎖です。
そして、私たち人間は
ここ数十年で一番大切な何かを忘れている、
もしくは伝え忘れている・・・
そう感じます。
少年は、高校に「ごめんなさい」と言ったそうです。
どこまでも異様です。
危害を加えた人に対してではなく
真っ先に組織に謝る・・・
学歴社会の犠牲者とか
エリートが感じるプレッシャーとか
そういったものではない何か大きな違和感を覚えます。
もしそうなら、家族や学校を恨むからです。
動画の中でも含んで述べましたが、
トップから転落する自分と
東大そのもの、もしくはそこを目指す人たちとの対比
という図式も見えます。
ちなみに、東大に共通テストに行ったからと言って
皆が東大を受けるわけではないのですが、
彼もそんなことは知っていると思います。
しかし、東大門前という象徴的な場所で
身勝手な事件を起こすという心理は、
「独りよがりな復讐」と
歪曲した「赦しへの懇願」だったように思えます。
「赦し」?
それは東大に行けないことへの赦しです。
誰からの赦しか?
まわり?
自分自身?
それはわかりません。
しかし、彼の言葉から
この赦しを懇願しているように見えるのです。
もちろん赦しなどいらないのです。
いらないのに彼は赦しを請いたいと
切に思っていたと思います。
しかも、懇願なのに上から目線なのです。
この上から目線という立ち位置が異様なのです。
だからこそ、「罪悪感」「切腹」という言葉を使っているのです。
[スポンサーリンク]
tag : 東大前刺傷事件