秋来ぬと・・・
秋来ぬと目にはさやかに見えねども
風の音にぞおどろかれぬる
藤原敏行
秋の和歌で、一番好きな歌です。
はっきりとは見えないものを
微妙に感じる力が
古来より日本人にはあります。
ただ、昨日の場合は、「音」というより「気配」という
よりさりげない兆しだったと思います。
さて、今日の朝、
トマトを買いに近所の古くからある八百屋に行きました。
そこのレジには、元生徒さんの保護者の方が
2名いらっしゃいます。
今日は、偶然でしたがそのお二人にお会いできました。
そのうちのお一人、78歳のおばあちゃんがみえます。
そのおばあちゃんはお孫さんである男の子を
お一人で育てていらっしゃった方です。
その男の子も今では32歳になられたそうです。
どんなご事情かは詳しくは存じ上げませんが、
男の子のご両親がいない中、本当にすごいことだと思います。
御年78歳・・・
この10月で、その八百屋が閉店されるのを機に
引退されるそうです。
心から「お疲れさまでした」とお伝えしたいです。
お店でそのおばあちゃんにお会いすると
必ず、「先生その野菜もう見切り品だから安くするよ・・・」と
声をかけてくださいます。
店というのは、
品物やサービスがあり、
値札が付いているだけではありません。
つながりという「気」で育っていくものです。
おばあちゃんが果たされた見えない貢献は
決して金額でははかれないでしょう・・・
その八百屋さんも長年多くの人の
つながりの場になったのでしょう・・・
そういった古き良き時代の八百屋さんが
なくなるのは少し寂しいですが、
目に見えないそういった気風は
私たちの世代も受け継ぎたいと思います。
「場」とは目に見えない「気」で作られるものです。
[スポンサーリンク]
theme : 気付き・・・そして学び
genre : 心と身体
tag : 場
