闇を知るから強烈な光となる
しかし、闇を知らなければ
強烈な光は放てない・・・
いわさきちひろさん・・・
彼女の絵は日本中きっと
ほとんどの人が思い浮かべることができます。
子どもの絵が多く、
愛らしくきれいな色づかい・・・
心を和ませる絵・・・
そんな印象を持っておられる方がほとんどなんでしょう・・・
私もそんな印象しかありませんでした。
ですから、今回の美術館はそんな感覚・・・
「ああ、きっとああだろう・・・」という範囲で
お決まりという感じで足を向けました・・・
ところが・・・
思いもよらず、途中で涙がこぼれるのです。

自分でも驚きました。
彼女の絵の奥にある「闇」・・・
そう平たいいい方をすれば、
戦争への憎悪、
恐怖・哀しみを超えた憎しみが
そわーっと入ってきたからです。
彼女が描く子供は、眉がなく黒目部分だけで
愛らしい表情を描きます。
それが唯一一枚、
白目と黒目がはっきりと描かれた絵がありました。
子どもを業火から守る様子が描かれた母親の絵・・・

この闇をしっているからこそ描くことができる可愛さ・・・
この徹底した「闇」を経ることでしか表出しない色・・・
彼女は共産党へ入党していたようですが、
そんなイデオロギーなどどうでもよく、
ちっちゃく処理できてしまう普遍的な人類に対する「情」・・・
戦争を知らない我々世代は
やはり生ぬるいのです。
しかし、
また生ぬるくていいのです。
それがまぎれもなく私たちですから・・・

しかし、「闇」から逃げてはいけません。
本当の光を放つためには
どうしても「闇」を見つめ、認めなければならないのです。
宇宙は教えます。
闇がなければ光もみえない・・・
そして、自ら光を放つことはもっとできない・・・
思いがけず奥が深かったいわさきちひろ展でした。

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genre : 学問・文化・芸術
tag : いわさきちひろ
