樹下石上186・・・誰も世間を知らない
隣で何やら熱弁されているお母さんがいた。
テーブルは通路を挟んでいるが
狭いので、ほぼ会話が聞こえてしまう。
メンバーは、男2人に、この女性・・・
どうやら同級生のようだ・・・
年齢は40代前半という感じか・・・
女性が言う・・・
「息子の担任が言うんやわ、
世間はそんなに甘くないぞって・・・
でもさ、その先生がなんで知っとん!?世間を。
世間に出てない先生がさぁ~
世間に出てない先生に言われたないわって思う・・・」
私はちょっと吹いてしまった。
確かにいま多い・・・
そういうどこからどう持ってきたのか
根拠のない脅しで、生徒を諭す!?先生が・・・
で、この女性はさらに続ける・・・
「○○(息子の先輩!?)が言うにはさ、世間出たけど
先生が言うほど厳しなかったでって・・・(大笑)」
もうギャグだろう・・・
世間を知らない先生、先生しか知らない先生・・・
そういう先生が言う世間論は本当に裸の王様化している。
私も生徒から聞いてそう思ったことがある。
今の時代、お父さんやお母さんの方が
世間をよく知っているし、
早く情報をキャッチしている。
この逆転が起こり始めたのは、
恐らくスマホの普及率と関係があるだろう。


しかも、これだけインターネットが当たり前になり、
知識の民主化が始まり、
先生が知っている程度のことなら
だれもが調べれば知ることができるし、わかっている・・・
しかもラインの普及で
パパ友ネット情報、ママ友ネット情報はかなり濃くなっている。
特に、若い先生で、
ストレートに教員になれば、実体験での少なさから
世間がなんなのかを語るのは、実に心もとない。
また、こういう方もいよう。
学生の時は、奨学金の返済等で
時間もお金もままならず、
旅などで、見聞を広げることができなかった・・・
とにかくいまは、「先生」という肩書きだけでは、
先生になれないことを「先生」という職業の人は知っておくべきだろう。
学校の先生も、医者も坊主も、政治家もだ。
しかし、この方の話を聞いてふと思った。
なにも、先生だけでなく、
すべての人が「世間」など知らないのではないか・・・
世間知らずなのではないか・・・
これだけ情報が溢れ、仕組みが多様化、複雑化する社会で
世間をわかっている人などいないのではないか・・・
SNSが盛んになればなるほど、
ますます人は、見たいものだけ見て
繋がりたい人とだけ繋がっている・・・
だから誰も世間など広く知らない・・・
そんな気がするのだ。
昭和の時代、バブル期&崩壊までは
世間というのは一種「正解」を意味していた。
世間体とか、世間から笑われる・・・
そういう言葉に象徴されている。
いまは違う。
その世間がいっぱいあって、
どの世間が正しいかなど誰にもわからない。
世間は「実体」を失った。
変われない昭和の大人は、
激しい世間の変化に右往左往している。
価値観が多様化する社会で、
大人の一言は無力になることも多い。
だからこそ私たちは何を磨かなければならないのか・・・
世間が一種、得たいの知れない大海原になろうとするこの時代に
人と人が、何を話せて、何を響かせることができるのか・・・
令和の時代は、
本当に大切なものしか響かなくなる
ある意味厳しい時代かもしれない・・・
私も他人事ではない・・・
theme : 気付き・・・そして学び
genre : 心と身体
