樹下石上 116・・・自立ってなんだ!?③
いろいろな人や環境にお世話になりながら
生きていることを認めるとうこと・・・
つまり、「おかげさま」「おたがいさま」を知っていること・・・
そういうことではないかと思うのです。
自立=「おかげさま」「おたがいさま」
一見すると、矛盾したこれらの言葉が
「自立」していることの正体ではないかと思います。
今から25年ほど前の塾のエピソードです。
ある日、生徒が問題を解いているとき、
机間巡視をしていた私の足元に消しゴムが落ちてきました。
ふと顔を上げると、生徒は真剣に問題を解いていて
消しゴムが落ちたことなど気が付いていない様子・・・
思わず反射的に消しゴムを拾ってそっと机に上に起きました。
すると、私の人生上、思いもよらぬ回答が返ってきました。
「拾ってくれって言っていません」
「・・・」
そういう言い方しかできない彼女は、
きっと自分のペースで消しゴムを拾いたいし、
人の世話になどなりたくなかったのでしょう。
また、塾に来る前に何か不機嫌になることがあって
当たり散らしていただけかもしれません。
しかし、それは、彼女のいざというときのスタンスを
わずかながら表していたのではないかと思うのです。
自立を思うとき、私はなぜかこのエピソードを思い出します。
たかが消しゴムの事件ですが、
わたしには「自立」とはなにか?を如実に表していると思えます。
たしかにこの子は、ひとりで消しゴムが拾えるほど自立していて
人の世話にならなくてもいいほど、からだも大きくなっています。
しかし果たしてこれは、自立している、
成長していると言えるのでしょうか・・・
わたしには、彼女の様子が、やせ細った心で、
意地を張りながらやっとのこと立っている・・・
そんな心もとない状態に見えたのです。
自立とは、何でも一人で大丈夫ということではありません。
だれかの応援や援助を
心からありがとうと言える人ではないかと思うのです。
そして、そのありがとうを積み重ねることで
「自立」していくんではないかと思うのです。
いかがでしょうか・・・
みなさんはどう思われますか?
theme : 気付き・・・そして学び
genre : 心と身体
tag : 自立おかげさまおたがいさま
