冬、大寒のころ②・・・声は履歴書
一年で一番寒い時期らしく、昨日は冷たい雨だったが、
雲からのぞく陽光には、すこしだけ春の兆しが見える感じがする。
さて、昨日でセンター試験が終わり
高3生はまだまだ気が抜けない気持ちで自己採点だろう。
中3生は、これからがいよいよ佳境・・・
私立と前期が待ち構えている。
毎年、面接指導をしていて思うのだが、声の出し方・聴き方に
彼らのこれまでの人生が如実に集約されている。
数例を挙げると、
①ぼそぼそ語尾があいまいな生徒・・・
②話ながらもその声がスーッと本人に帰っていってしまう生徒・・・
③届けるその声が、私の前ですとーんと落ちてしまう生徒・・・
④やたらと声は大きいが、こちらの質問を聞く「間(ま)」がない生徒・・・
どのパターンも、それぞれこれまでの15年間、
どう家族と接してきたのかがわかる貴重な足跡だ。
それぞれこんなご家庭環境となる。
(もちろん例外もあります)
①家庭内で気分屋の母親がやたらと一方的に話し、
しかも、子供の声を遮ってしまうことの多い環境
②家庭内でよく話す方だが、肝心なことは
大人の状況で話すか話さないかを判断してきた場合
③時には①も混ざるが、①と大きく異なるのが
それを「反抗」という立ち位置で解消できた子ども。
比較的、親から自分の我を通すことがゆるされていたが
下の弟妹は少し我慢を強いられてきたパターン
つまり、その子の声の出し方は、
その子がどう人間関係を解決してきたかという証なのだ。
用意した面接の原稿は完璧でも
意外にこういった声の出し方や体の使い方にその片鱗が現れてしまう。
より良い面接にするには、こういった
自分が蓄積してきた見えない内面に気づかせることが重要となる。
なぜなら、彼ら自身その内面に気が付くことで
自己肯定感が増し、結果的に
自信をもってハキハキ明るく面接をしてくることになるからだ。
例えば、声がスーッと引っ込んでしまう生徒には、
相手を見る
↓
弧を描く見えない橋をつくる
↓
その橋に乗っけるつもりで
言葉を届ける・・・
↓
それを見届けるように・・・
そんなアドバイスをします。
すると、彼らは数回の練習でできるようになってくる。
その時の彼らの明るい顔と言ったら・・・!
単に面接がうまくできるようになっただけでなく
これまでのこころの闇がとけ始め、
「対人術」が向上し、自分に自信を持てるようになり、
みるみる明るい表情に変わっていくからだ。
これこそが、面接練習の意味と効用でしょう・・・
まだ若い彼らは、柔軟にその闇を消していきます。
何ごとも小手先でなく、
本来の問題に立ち返り・・・
自分のいのちを取り戻す・・・
たかが面接、されど面接でございます。
theme : 気付き・・・そして学び
genre : 心と身体
