秋、白露のころ⑬・・・なんのための学力?

「学力テストの成績」=ボーナス支給
アメリカでブッシュJr.のときにも
公立の小学校学力テストの結果で生徒が転校を強いられたり
教員の減給・解雇が行われたり
学校が廃校に追い込まれたりする法律がありました。
「おちこぼれゼロ法」No Child Left Behind Actです。
(2002年制定、和訳がセンスありませんが)
1全国一斉学力テストを3年生~8年生(日本の小学校3年生~中学2年生)に課す。その学科は国語と算数だけで毎年行なう。
2ニ年連続で目標達成に失敗した生徒は、他の公立学校への転校を勧められる。三年連続で目標達成に失敗しても同様で、その生徒を他の学校に移す事が出来る。同時に携わった教員は減給・解雇の罰を与える事が出来る。
3四年連続でノルマが達成出来なければ、その学校への国からの助成金はカットする。教員の大規模な入れ替えやカリキュラムの変更等が出来る。
4五年連続の場合その学校を廃校にするか、民営の学校(チャータースクール)にする。
おちこぼれという言葉を聞くたびに思うのですが
あえてこの言葉を使うとするなら
「おちこぼれ」ではなく
「おちこぼし」・・・
「不登校問題」ではなく
「学校問題」・・・
そういう何気ない言葉からも
お上がどう責任転嫁しているかがわかります。
さて、アメリカの10年15年後が日本と言われますので、
いずれこういう新聞のような問題が
日本でも行われると危惧していましたが、
まさにその通りとなりました。
学力とはなにか?
だれが学力を育てるのか?
学力育成に影響を与えるのは何か?
そもそも10年以上続けているこの学力検査はまだ必要なのか?
こういったことを考慮検討なしに
全く短絡的としか言いようがない方針です。
「競争」は必ず悪いとは言いません。
しかし、どういった動機で競うのか・・・
そこがとても重要です。
子供が身体を爆発させて
無邪気にわーっ!!!とはしゃぎながら走り出す競争と、
無理矢理追いたてられて
「走れ!」と命令されて走るのとでは
人間の尊厳に対する価値観が違います。
そもそも、先生も受け持つ生徒のカラーも十人十色・・・
ひとつの尺度として「学力テスト」が使われるならわかりますが、
一斉一律にそれをもとに評価し、しかも金銭を絡めるとは
ナンセンスを通り越して、害としか言いようがありません。
アメリカでは、この「おちこぼれゼロ法」のために
あらかじめ答えを教える先生が増えたり、
こころを込める誠意ある先生が解雇されるという事態を招きました。
やがて公立の学校が統合&民営化され
授業料が高くなり、貧困層が義務教育に通えなかったり、
たとえ通えたとしても、遠くバスに乗って1時間から2時間もかかるという
最悪の事態になりました。
また、小中で低学力の子は、高校生になっても
学校についていけません。
その後、
低所得家庭児童向け医療保険基金から11億ドルの削減もあり
低所得で低学力の高校生たちは、軍からリクルートされ
軍隊に入って自分と家族を助けようとしました。
(軍隊に入ると、教育・医療・税制など優遇が多いからです)
そして、次々とイラクやアフガンなどの激戦地に送り込まれました。
米国は徴兵制ではないので、国としてこれは効果を奏しました。
その背後にいるのが、人の尊厳などお構いなしの
「世界金融資本家」たちです。
今はどうかわかりませんが、
日本でも、2、3年前の中学、高校生の進路説明会に
自衛隊の方が見えて熱心にリクルートされていたり
志願者の中で、個人的に2次、3次まで行った合格者は
自衛隊の高官が自らが自宅まで高級車に乗って迎えに来て
関東方面の試験会場まで送り届けていたことも事実です。
すくなくとも医療、教育に関しては
過去のアメリカは感心できません。
こういったアメリカの失敗を是非学んでほしいです。
theme : 気付き・・・そして学び
genre : 心と身体
