万の言の葉 独楽吟のすばらしさ ~庶民による書のパフォーマンス~ ②
遺してくださったと思わずにはいられない。
古くから日の本の人々は、
日常の情感を 和歌のリズムにのせて詠んできた。

五七五七七・・・
どうしてこのリズムなのかは、諸説あるが
わたしは、海を渡る渡来人の舟をこぐリズム・・・
もしくは 波のリズムではないかと思う・・・。
「えんやーとっとぉ」でなじみある
斎太郎(さいたら)節を聞いてそう感じた。
この五七五七七に とてもなじみやすい。

大海原でひたすら櫓を漕ぐ苦痛を
和歌のリズムにのせることで
楽しみ合い 労わりあいに変えていく・・・
このリズムは、
人々の苦しみや痛みを 和らげるのではないか・・・

制限の多い 長い海上生活から
陸に着いたら あれをしようと これをしようと
楽しみを共感しあったのかもしれない・・・
そういうすばらしい変換装置・・・
その魔法が 五七五七七なのではないか・・・

いのちの象徴である
海と一体になるリズム、それが和歌・・・
最近わたしはそう思い始めている・・・・。

平たく完結に言ってしまえば、
「優しさのリズム」ということになる。

独楽吟は、平成の万葉集だと思う。
万葉とは、万の人々の言の葉…という意味だ。

古今和歌集や新古今和歌集のような
勅撰(天皇が編纂を命じる)で
身分の高いものたちが 詠み上げたものと違い
身分の低い庶民「詠み人知らず」の和歌でさえ集めた万葉集の方が
おおらかな本来の人の生活を 表しているような気がする。

今回、8人の方に
「楽しみは・・・とき」で独楽吟を詠んで
その場で書いていただいた。
本当に素晴らしい・・・

母親が子どもたちを思う
ほっと じーんとする詩・・・
わたしもそうやって育ててもらったんだ・・・と
ふるさとの母を思う・・・

人生になる 一歩手前の日常の
なんとはなしの それぞれの楽しみ・・・
目の前にその情景が浮び
そのひとの息づかい、こころのあたたかさ・・・
そういったものが
わたしたちの本来持つ
「共感する力」を呼び覚ます。

これこそ まぎれもない
いのちの表出である。
そして、いのちはつながっているという
まぎれもない事実を 確かめることができる。

どこか遠くの偉い人が詠む和歌でなく・・・
すぐ隣の人の体温が感じられる詩・・・



優しさの原点とは
そういったものではないだろうか・・・

それぞれが持つ字体と息づかい・・・
筆にのって そのひとのたのしみが
宇宙に放たれる・・・


一人ひとりに合わせ
素敵なピアノとハープを奏でてくださった
大谷さんとよっしーさんに
こころから御礼を申し上げます。
ありがとうございました。

この記事を書いている最中、
TPP衆院特別委員会にて各党の賛成多数で
可決したというニュースが飛び込んできた。
ああ...と声を漏らさずにはいられない。

もう、政治の力では、
何も変わらないと思うから・・・
庶民の錦の旗を立てようと思う。

武者小路実篤はいいます。
何のためにあなたたちは、
生きているのですか。
国のためですか。
家のためですか。
親のためですか。
夫のためですか。
子のためですか。
自己のためですか。
愛するもののためですか。
愛するものを
持っておいでですか。




わたしたちの暮らしは
わたしたちのいのちは
わたしたちが愛する・・・
いのちあるものが いのちあるように・・・
そういう道を
これからも漸進したいと思います。

よろしければ
皆さまもご一緒にいかがですか・・・
末筆になりましたが、
今回の開催にあたり
本当に多くの人のご賛同・ご協力・ご尽力を賜りました。
謹んで御礼申し上げます。
心よりありがとうございました。
