序・破・急の法則
序破急とは、能の奥義と言われていますが、
能の大成者、世阿弥が記した「風姿花伝」には、
「世の中一切のことは、序破急の法則がある」
とまで言い切っていますので、
私たちの日常すべてに
序破急の流れがあると考えていいでしょう。
2021年もあと二か月余り・・・
一年を、序破急になぞらえれば、
すでに、「急」の段階に入っています。
年末があわただしく感じるのは、
この自然の法則のためでしょうか・・・
私事で恐縮ですが、
昨年から年賀状仕舞いをさせていただいております。
この年賀状・・・
50年ほどずっとさせていただき
昨年やめます、と宣言いたしました。
賛否両論あるかとは思いますが、
毎年毎年の「急」の中で
「せねば・・・」という心の鎖の一つが取れたようで
その分軽い年末を迎えております。
世の中で生きていくうえで、
この「せねば」をゼロにすることはできませんが、
私自身の人生では、
少しずつ「せねば」をやめていこうとも考えています。
人生90年と見れば、
ちょうど私の年齢は「破」から「急」へ移ろうとしている最中・・・
この「急」は、「破」がなければ訪れません。
「破」の人生、ちょうど30歳から60歳に当たりますが、
この時期は、とにかく「破る」エネルギーを大切にすることでしょうか・・・
自分のこれまでを破る、
世間の常識「せねば」を破る、
自分に合わない関係・環境を破る・・・
そうして迎える「急」は
人生を畳むという、
来るべき瞬間に備えて「急」を生きることなのでしょう・・・
お手本は、花火です。
花火ほど、この序破急を
見事に演じているものはないのではないでしょうか?
花火の序破急は、
聴覚・視覚・肌感覚(余韻)と
順を追って世界観を広げていきます。
「あの人、急に亡くなられて・・・」
とは言いますが、
「あの人、徐々に亡くなられて・・・」
とは言いません。
しかし、私たちは確実に
徐々に亡くなって行っているのです。
単なる尺の違いです。
その「急」への準備としての「破」・・・
まだまだ数年生き切りたいと思います。
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tag : 花火
樹下石上 78・・・夏が来る
気象予報士がいおうがいわまいが、
この「セミが鳴く」ことをもってわたしの梅雨は終わる。
夏の風物詩にはいろいろとあるが、
その中でも花火は格別だ。
日本中でいったい何人のひとが
ひと夏であの花火を楽しむのだろう・・・
「あっ・・・」
「おぉー」
歓声がそこかしこから聞こえ
見上げる人々の顔に暗い人はいない・・・
花火とは本当にすごいものだ・・・
私もそんなに多くの場所で見たわけでないが
地元の津、伊勢、熊野・・・
多くの思い出がある。
中でも私にとって格別なのが岐阜の花火だ・・・
息もつかせせず、次から次へと打ちあがる花火・・・
小さい頃は、名鉄電車沿いのフェンスから
遠くに遠くに見える花火を母とともに楽しんだ。
帰りに駄菓子屋のアイスが付いてきたから
それがまたさらにうれしかった。
長良川で花火直下で見たこともたくさんある。
一度まじかで体感すれば、
申し訳ないが他のどの花火大会も小さく見えてしまう。
今年も花火の季節がやってくる・・・
桜といっしょで、今年はどこで楽しもうかと考える。
みなさんはどちらで楽しまれますか?
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夏、大暑のころ⑫・・・死者を迎える、送り出す
原爆記念日、終戦記念日、お盆・・・
そういう意味で
見える見えない合わせて
人口密度も高くなるし
死者を思う人々の祈りが満ちるときでもある。
今日は夢で「書きなさい」とメッセージをいただいたので書いてみる。
死者の迎え方、送り方は
世界各地で様々だが共通しているのが
「火」「水」「流す」「飛ばす」
河原での「花火」はその大掛かり版と言っていい。
昨日、韓国ドラマの「トンイ」が終わった。
60話もある大作だったので
印象に残るシーンは尽きない。
その中の一つ、紙の灯篭が空へ舞うシーン・・・

(「トンイ」より)
エンディングで毎回流れた。
韓国では 願い事を書いて飛ばすらしい・・・
原型はおそらく、死者への感謝だと思う。

(「雲が描いた月明かり」より)
他にも、タイやポーランドでも飛ばすらしい。

(タイのチェンマイ「万人天灯」)
このランタンや花火を見て思わず人々がもらす言葉・・・
「きれい・・・」
この言葉が、
何よりの供養になる。
しかもみんな穏やかな笑顔だ・・・
久しぶりに会った親類縁者に
笑顔で「きれい」といわれて喜ばない人はいないであろう・・・
女性ならなおのことだ(笑)
また、この世からの去り際に
「うつくしい・・・」
とつぶやかれて嫌がる人もいないであろう・・・
そういう意味で
花火や灯篭を楽しむことは
死者への誉め言葉となり、供養ともなるのだ。
そして、世界中でこの
「きれい・・・」がつぶやかれるのを想像してほしい・・・
きっとその人の心も、まわりも・・・
みんな美しくきれいになっていくに違いない・・・
死者を迎え、送り出すのは
あの世とこの世、両方への賛歌でもあるのだ。
(ポーランド「ランタンフェスティバル」)
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