それは本当に自分で感じているのか?
「天高く馬肥ゆる秋」
そこではたと戸惑った。
あれ!?
①これは本当に自分が感じた感覚だろうか?
②それとも、この言葉を知っていたからそう見えたのか?
秋は、本当に空が高いのか?
馬は肥えているのか?
その検証を自分の感性でちゃんとしたのか?
どこか怠ってはしないか?
そう感じたのだ。
私は日ごろ、生徒たちに言葉の大切さを説き、
自分自身も言葉を大切に使おうと気を配っている。
言葉の効用と重要性も、この年なりにわかっているつもりだ。
しかし言葉の弊害はこういうところにある。
それは、人か作った言葉に
自分の感情を合わせてしまうことだ。
言葉への服従・・・
言葉による感性の放棄・・・
それは日常的に、ちょっとした会話でも起こりうるし、
世論などは、これを利用した洗脳だ。
コロナは大変、
マスクとソーシャルディスタンスが大切、
ワクチンは打った方がいい・・・
そういった四六時中言われていることに
自分たちの感情を合わせてしまう・・・
ましてや感性さえも預けてしまう。
子どもを見ていて思う。
人は基本考えたくないのだ。
ましてや自分で情報を集めて掘り下げたくもないし、
仮になったとしても、時間がない。
だからこそ、手っ取り早く
誰かが作った「言葉」と「価値」に乗っかりたいのだ。
やがて、検証と違和感を感じる感性がマヒし、
いずれは消滅さえする・・・
為政者はそれを利用して
大きな世論操作と洗脳を成功させていく・・・
国家や社会、世間、会社は
自分の感性で考え、行動する人物はやりにくいし、忌み嫌う。
だからこそ、世論操作を行いやりやすくするのだ。
リップマン(1889-1974)という人物がいる。
アメリカのジャーナリズム界の長老と呼ばれた人物だ。

彼は、第一次世界大戦の際に、当時のマスメディアを使って
厭戦(戦争を嫌う)ムードのアメリカ国民を
ものの見事に好戦ムードの変えた張本人だ。
リップマンは大衆をこう分析していたという。
大衆は自分が考えていないことでも、
あたかも自分が考えたかのように錯覚させられてしまう。
したがって、為政者による世論操作は
いとも簡単にできてしまう。
私もいとも簡単にやられていることも多いだろう。
私が見たあの秋の青い空は、
「自分で感じたことだけ言葉にしなさい!」
いまでもそう戒めている。
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theme : モノの見方、考え方。
genre : 心と身体