樹下石上 ⑩・・・ゲーム脳
北方領土返還に関して
「戦争をしないとどうしようもなくないか」などと
発言した丸山穂高衆院議員だ。
年齢はというと35歳。
私は以前、湾岸戦争が起きた後、
小学生の子どもたちに「戦争ってどう思う?」と尋ねたことがある。
いまから20数年前だ・・・
テレビ画面で、まるで花火のように
爆弾が飛び交うシーンが映し出された。

あまりに抽象化された画像だったために
当時、地上の惨事をきちんと想像できる人間と
そうでない人間が「戦争」を語っていたはずだ。
まさにこの議員が、あの小学生の子たちと
年齢的にほぼ合致する。
その時の小学生の一部がこう答えた。
「かっこいい・・・」
わたしにとっては衝撃だった。
ちょうどゲームの画像がリアルさを増し
その中に戦闘ゲームがあったことも大きいと思う。
その一方で、TVで流れる戦争映像は遠隔化され、抽象化され
まるで、下に生身の人間がいないかのように映し出されていった時期でもある。
そこでたずねた・・・
「君のお父さんやお母さんに爆弾が落ちて
手がもげて、からだがバラバラになって、
血をダーダー流して、痛い痛いといっていても『かっこいい』って思える?」
あえて残酷な表現をした。
そして 努めて冷静に尋ねた・・・
「・・・・・・」
最初の質問で目を輝かせていた彼が
そっと首を横に振った。
想像力・・・
小学生の彼が足りなかったのは想像力・・・
ゲームの世界でしか見えない二次元の「戦争」・・・
どこも傷まない、だれも血を流さない「戦争」・・・
そういう安住から一歩外に出て
リアルに想像する力・・・
彼にはそれがなかったのだと思う。
「戦争」という第三者の言葉でごまかされ
無感覚化された世界・・・
現実とは、からだを通した「知」・・・
一方、ゲーム脳は、
脳が作り出した世界を「本当」と認識すること・・・
今はオンラインゲームになっているらしい。
ともにゲームをする生身の人間とつながる楽しさがあるらしい・・・
人に嘘(虚構)を本当と思わせるコツがある。
それは、嘘(映像)を真実(人)の中に混ぜることだそうだ。
この議員・・・
オンライン「戦闘ゲーム」にはまっていた(る)のだろうか・・・
theme : 気付き・・・そして学び
genre : 心と身体